16　Letters




『　ウソップさんへ
　前略　お元気ですか
　オルゴール、早速直してくれてありがとう！
　早速蓋を開けると、昔と同じ･･･それよりもずっと綺麗な音色が鳴って
　父と母と思い出して、少し泣いてしまいました。
　まさか直るとは思っていなかったんです。（信じなくてごめんなさい）
　あまりに嬉しくて、つい筆を取ってしまいました。
　ウソップさんの高校は今、文化祭の準備が忙しくなってたということでしたね。
　私の高校も、今週末の文化祭に向けて騒然としています。
　と言っても、私は友達がいないから、何となく蚊帳の外なんだけど･･･
　附属高校は高校から入ってきた私のような人には辛い環境です。
　ウソップさんはどこの高校に通ってるの？
　お友達の話を利くと、とても楽しそうでうらやましい。
　長々とくだらないお話をしてごめんなさい。
　オルゴールの音色を聴いていると、楽しい気分になってしまいます。
　本当にありがとう。今度また、楽しいお話を聞かせてください。　　草々
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カヤ』

『おっす！喜んでくれたみたいだな。
　また何かあったら、このキャプテン・ウソップ様に任せてくれ。
　言い忘れてたが、俺の高校はイーストブルー高校だ。
　カヤの高校よりはずっと変な奴らが集まってるかもな。
　その中でも俺の幼馴染のルフィが一番変な奴だ。
　あ、ルフィってのは、麦わらクラブのリーダーだ。
　本当は皆は俺をリーダーにしようとしたんだが、
　俺は影で皆を支えたかったから、敢えて奴にリーダーの座を譲った。
　俺ほどじゃないが、喧嘩は強い。
　この間も、ルフィとサンジとゾロ（こいつらも麦わらクラブのメンバーだ）が、
カツアゲやってる奴らをやっつけた。
　今は、皆で校内の文化祭の準備を手伝ってるんだ。
　もちろん、一番頼りにされているのは俺で、あまりにも忙しくて困ってるぐらいだ。
　文化祭のチケット入れておくから、メリーとでも来いよ。
　ルフィ達も会いたがってたぜ。　　　　じゃあな　　　　　　　　　　　　　　　　』

『ウソップさんへ
　お返事ありがとう。チケット嬉しいです。
　メリーに電話したら、メリーも楽しみにしてるって。
　ウソップさんの高校はイーストブルー高校だったんですね。
　私も、中学生の頃はイーストブルーに行きたいと思ってたの。
　でも、クラハドールが駄目だって。
　確かに、附属高校はとてもいい学校だとは思うんだけれど。
　たまに逃げ出したくなっちゃいます。
　愚痴になってしまいましたね。文化祭、楽しみにしています。
　そう言えば、ゾロさんって附属高校の卒業生ですか？
　よく名前を聞きます。
　すごく怖い先輩がいたんだって。
　喧嘩に強いということは、きっとその人かしら？
　早く会ってみたいです。ウソップさんのお友達だから
　皆の噂ほど、怖い人ではないんですよね。きっと。
　今日、附属高校では文化祭が始まりました。
　だから、この週末はお家に帰れません。
　皆さんにお会いしたかったのに、とても残念だわ。
　来週、イーストブルー高校の文化祭でお会いすること
　楽しみにしていると皆さんに伝えてください。　　　　　　　　　　カヤ　　　　　』

『おっす。元気か？
　昨日の日曜日、ルフィがカヤに会いに行こうって言うから
　皆でそっちに行ったんだぜ。
　でも、入場券がなくて入れなかった。
　ゾロが（カヤの言う通り、そこの卒業生だ）抜け道を教えてくれたんだが
　入ってすぐに見つかっちまって、ナミが色仕掛けで切り抜けたんだ。
　そこから、カヤを探すつもりだったんだけど
　ゾロがナミと喧嘩しちまってな。
　色仕掛けってのが気に食わなかったらしい。
　アイツら、好き同士なのに付き合ってないんだぜ。
　いつもお互いに変な意地張って喧嘩しちまうんだ。
　今回も大声で喚き合うもんだから、すぐに見つかって
　結局追い出されちまった。
　ルフィもチョッパーも残念がってたぞ。
　前に手紙に書いたサンジも、涙を流してた。
　奴は女好きなんだ。カヤも今度会う時は気をつけろよ。　じゃあな　　　　　　　　』

『ウソップさんへ
　びっくりです！高校まで会いに来てくれてたんですね。
　入場券を送れば良かった。
　私には家族がいないから必要がないと思って、入場券もらってなかったんです。
　気が付かなくてごめんなさい。私もみんなに会いたかったな。
　今週の土曜日までお預けですね。残念。
　ナミさんとゾロさんは仲直りしたのかしら？
　今、校内ではその話題で持ちきりです。
　あのゾロ先輩が、文化祭に彼女を連れて来て痴話喧嘩してたって･･･
　私も、噂を聞いただけだと、ゾロさんに彼女がいるなんて信じられない。
　あ、彼女ではないんですよね。
　ナミさんとは会ったことがあります。すごく綺麗で優しい方ですよね。
　彼女も好きな人の前では、意地を張ってしまうのかしら？
　何だか、想像ができません。
　恋をすると変わるって言いますよね。
　私にはそんな人がいないから、わからないだけなのかしら。
　ウソップさんも、彼女の前ではいつものウソップさんじゃなくなってしまいますか？』

『返事が遅れちまったな。
　ここんとこ、詰めの作業のせいで毎晩学校に近いナミの家に
　皆で泊まってたんだ。
　もうこの手紙を読む頃には金曜日になってるか。
　ゾロとナミの喧嘩は未だに継続中だ。
　元々、俺とカヤが会った日から喧嘩してたからな。
　でもナミの奴、今週だけで10組のカップルをうまくくっつけたんだぜ。
　うちの学校の文化祭で、キャンプファイヤーを恋人同士で見たら
　将来そいつと結婚できるってジンクスがあるから
　告白を手伝えって依頼が結構舞い込んでるんだ。
　それをナミが全部成功させてるんだ。
　俺から見たら、自分のことはどうなんだって感じだぜ。
　それで、俺達はアイツらを仲直りさせるために
　土曜日にちょっとけしかけてやることにした。
　カヤも協力してくれねぇか？
　土曜日の夜、お前んちに泊まらせてもらいてぇんだ。
　直前までは、ナミの家に皆で集まるってことにする。
　気付けば二人っきりって状況にしてぇんだけどな。
　やっぱ男4人がカヤの家に泊まるのは悪いかな。気を悪くしないでくれよ。
　もし駄目なら、ルフィの家に泊まろうって思ってるしな。
　土曜日は皆で待ってるぜ。　　　じゃあな　　　　　　　　　　　　　　　　』