oughta call the name




「おかしいなぁ・・・どこ行ったんだろ、ネウロ」

歩きながら路地裏に首を突っ込みながらおーいなんて呼びかけてる女は、すぐにピクッと肩を揺らして通りの向こうに顔を向けた。
これで三回目だ。

「おいっ!てめェいい加減にしろ!」

財布を取り出しかけた弥子の肩を掴んで振り向かせると、その手には既に財布が握られている。

「だってあそこのたい焼き焼き立てが最高なんだから。絶対に逃すわけには・・・」
「馬鹿みてェに食ってそれでも女かよ!アイツを探しに来たんじゃねェのか?俺はもう帰るぜ」
「・・・帰りゃいいだろ」

傍らを黙ってついてきていた男がぽそりと呟いて、その襟首を掴んで睨みを聞かせたら、飄々とした男は鬱陶しげに俺の手を払った。

「ちょ・・・吾代さん、ダメだよ。その人は・・・」
「うるせェ。大体さっきから気に食わなかったんだよ。てめェ何の用があって俺らの後つけてきやがる」
「そりゃあんただろ。俺は彼女とあの・・・助手に用事があるんだからな」

そうだった。
今日は事務所に呼び出されて気付いたらあのネウロって奴がいない。
俺一人であの薄気味悪い秘書とやらと二人・・・一人っきりってのも忌々しくなって部屋を出たらコイツとこの女が立ってたんだ。
あのネウロって奴にこの男が用事があるって言うから探しに出たんだったか。

この女がいちいち食い物見つけてはそっちへ行こうとするからこうして街を歩き回ってる理由を忘れちまってた。

ふん、と鼻を鳴らして手を離せば、自分よりずっと背の低い弥子が袖を引いた。

「吾代さん、ネウロ何か言ってなかった?」

「俺が知ってるとでも思ってんのか。俺がマスコミを蹴散らしてる間にどっかに行きやがった」

「どこに行ったんだろ。また謎の匂いを嗅ぎ付けて・・・」

「謎・・・?」

この薄髭を生やした男は、アイツの正体を知らないらしい。
弥子が慌ててなんでもない、と否定すると彼女の顔をじっと見ていた。

「とにかく一回事務所に戻るしかないよね。アカネちゃんなら何か知ってるかも・・・」

「アカネちゃん?まだ他に誰か雇ったのか。商売繁盛だな。」

「あ・・・え、えっと。違う違う!今のは吾代さんのこと!」

「・・・・・・・・あァ?何か言ったかこの・・・」

袖を再び引かれた。
懇願するような眼で、俺を見ている。

あァ、奴の正体も知らねェこの男にさらに意味不明なあの『秘書』の存在をバラすわけにはいかねェってわけか。

「アカネちゃん・・・随分と可愛い名前だな、あんた」

「だ・・・ッれが・・・俺にそんなやわな名前似合うか!ナマ言ってんじゃねェぞ、てめェ・・!」

「あ、そうか。吾代さんは忍ちゃんだ」










シノ・・・・────









「どっちも似たような名前だと思うが」

「黙れッ!このアホッ!いい加減にしねェとてめェコンクリート詰めにして・・・」

「吾代さん、だから笹塚さんは・・」

「ルセェッ!テメェもテメェだ!人の名前を勝手に・・・今度ちゃん付けなんかで呼んでみろ、ナイフで切り刻んでや・・・」

「随分と血気盛んな野郎だな。ヤコちゃん、はい」


胸元から財布を取り出して千円札を一枚、弥子に渡すと笹塚は「俺も食べたくなった」とたい焼き屋を指差した。

途端に弥子が瞳を輝かせて駆け出そうとするものだから、つい慌ててその肩を掴んだ。

「え・・・?な、何?」

「・・・こんなおっさんの金使ったら、エンコーになっちまうぞ」

どもりながらやっとの思いで口にした言葉は我ながら苦しい。
瞬きした弥子に心中舌を鳴らして自分を恥じたら、次の瞬間、傍らにいた笹塚がフッと軽く噴出した。

「吾代さん、笹塚さんは刑事さんだよ」

「そうだ、刑事だろうが何だろうがこんな得体の知れねェ・・・・・・・・・・・刑事?」

「そうだよ。前に解決した事件のことで相談に来たんだって。」


慌てて振り返ったら、クールな笑顔は口角がさらに上げられてまるで俺のことを馬鹿にしてやがる。



「マッポが怖くてやってられっか」

「へェ。あんた前科モチか」

「───ふん、そうやって吐かせようったってそうはいくか」

「んもー二人とも仲良くしなよ」


とうとう呆れたように溜息ついて、弥子はもう意識をたい焼き屋に集中しているようで、肩を掴んだままの吾代の手からするりと抜けていった。



「あーあ、フラレちまったな」

「誰がッ!」

「得体の知れねェ男から貰った金でたい焼き買ってるぜ。いいのか」

「・・・・・・・テメェ、後で覚えてろ!」



言うなり、駆け出して今まさに金を払おうとしていた弥子の脇から自分の財布をバンッとカウンターにたたきつけるように置いた。









「・・・・名探偵ね・・・・・」




困惑する少女とその手から千円札をひったくった男の後姿にまた一つ軽く笑った。








+++++++++++Fin+++++++++++


●後書きというか御礼●


きょじんサマの素敵絵を見て書かせていただいた(つか勝手に・・・)SSでっす。
その素敵絵の掲載許可をいただいたので紹介させていただきまっす↓





イヤーイヤー!
これコレこれッ!そうそう、怒ってるごんちゃんに飄々としてるヅッカーに呆れてるヤコちゃんvvv
本誌で一度は見たいナーと思っていたこの三人の絡みが
きょじんサマ宅でアプされてた時はホントひっくり返りそうな衝撃がッ!(←嬉しい)

それでまたごんちゃんの鎖骨がセクシーv
ヤコちゃんはそのたっぷりの袖がいいんだよネーvv
ヅッカーのあーあって感じがまたイイよーぅvvv
そして三人の特徴がこの絵にすっごく現れてるってのがまた何とも言えない!
えーていうか、おいらがあまりに日記で騒いだために色まで塗ってくださいまして
ホント申し訳ないというよりイヤぶっちゃけ騒いで良かったーと思ってしまった(笑

この身長差もたまんないーターマーンーナーイーvv

いやネ、日記で予告された時にはごんちゃん単体かなって思ってたのー。
そこへ来てヤコたんヅッカーまで!で、もうホントにどうしたもんかと思ったw
更新情報より早くアプに気付いたのは愛故なせるワザw
(きょんたんへの愛とごんちゃんへの愛が合体してるからネv)

あーところでごんちゃんとヤコちゃんが同じ髪色というトコロに萌えてるおいらは
根っからのゴンヤコ人間な模様です。

きょんたんアリガトウ〜〜〜v
すっごかった!すっごい萌え!
それをこんな駄文にしちゃってゴメン!
つか、コレ設定ほんときょんたんの絵コメント見て
そのまま書いただけでおいらは何ら頭捻ってなくてゴメン!

いつでも限界MAXでゴメン!
好きだ!(もはやご挨拶として定着)

この素敵絵を描かれたきょじんサマの他の素敵な絵を堪能できる
ワンピ・メガテン・エトセトラエトセトラなサイトはコチラ→【CheapCannon



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