麦わらクラブ依頼ファイル4:裏最終話




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絡められた舌先が唇の裏をなぞると体の奥がじんと疼く。

ゾロの指先が服の裾を探り当てて肌を這えば、それだけで濡れていく自分を感じた。

彼の唇が項を吸う。

神経は全てそこに集中して、鼓動が早くなっていく。

恥ずかしさに頬が高潮していることは自分でもわかるのだけれど、どうしたって治まらない。

ゾロは、気遣うように優しく肌を吸っては、けれどもその手は私を激しく求めて胸をぎゅっと掴んだ。

「・・・ぁ・・」
吐息の合間に小さく声が漏れると、ゾロはそれを合図とばかり強く肌を吸って、胸に赤の印をつけた。手が背に回されて、ブラジャーのホックを外そうとする指が、くすぐったい。

身を捩ったら、彼にとってはそれが有難かったようで胸を締めていたそれが急に緩くなった。

キスをして、体を離したゾロがゆっくりと服を脱がそうとする。

羞恥心で自分の胸は高鳴って、周りの音すらも聞こえない。



ぎゅうと閉じた瞳で、なすがままになったナミの額にゾロは唇を優しく押し当てて「そう怖がんな」と呟くように言った。


「無理よ。怖いものは怖いんだから」

「悪ィことしたな」

彼女がここまで怖がってしまうのは、十中八九自分の所為かと思えば心苦しい。
それだけに優しくしてやろうと思うのに、目の前にいる女がようやく我に返った自分のものになるというこの状況だけで己の中に在る欲望が猛ってしまうのだ。
剥ぎ取ってやりたい服も、力を入れないよう、ゆっくりと脱がせて今度は彼女のスカートに手をかけた男は、はたっと動きを止めた。

「自分で・・・脱ぐか?」

それはナミのためというより、自分のための問いかけだったかもしれない。
女の服を脱がすなんて事は興奮材料の一つでしかない。
自分の中の欲望を膨らませるだけだ。
これ以上理性がなくなったら、ナミがまた怖がるかもしれない。

訊けば、ナミは輝きを失わない瞳で真っ直ぐ自分を見て「脱がしてくれないの?」と言う。



(・・・・・・・今のは反則だろ)


少々、キた。

隠し切れないほどの豊満な胸を懸命に隠しているくせに、誘うような言葉はぞくりと背に嫌な快感を走らせる。

理性が本能に押された。

だが、それをナミに悟られるわけにはいかない。

心中で何度も落ち着けと呟いて、ゾロは彼女のスカートを下ろした。
ナミは恥ずかしげに身を捩じらせて、下着一つだけを纏った姿で自分の手を見ている。
スカートを抜き取って彼女の冷えた爪先を撫でてやれば、ピクリと反応した。

その白い足すらも愛しく、舌を這わせるとナミは思い出したように「お風呂に入らない?」と伺うように言った。

「入らねェ」

「だって汚いじゃない。」

「入らねェ」

「私が嫌なのよ。ねぇ、先に・・・」

ゾロは突然ナミの唇を激しいキスで塞いだ。


「・・・んン・・・っゾロ・・・」

呼吸すらもままならないほどの激しいキスに、我を忘れてナミは胸を隠していた手を彼の首に回した。
鼓動が苦しい。

でも、彼のキスはいつだって、私を欲しいのだと言っていて、それは快感となって私の体の奥を巡っていく。


唾液が絡む音は淫らに耳を衝いた。

離れていったゾロの唇は私の唾液で濡れている。
ぺろっとそれを自分の舌で拭って、ゾロは「黙ってろ」と吐息のような声を漏らした。
言うなり、彼は自分の股間をナミの太ももに押し付けた。
ズボンの上からでもはっきりとわかる固いモノを知って、ナミが顔を赤らめたまま「我慢できないの?」と少しだけ嘲るような声色で言えば、至って真面目に「あァ」と言うなり、ゾロは彼女の胸に顔を預けた。

「風呂なんか悠長に入ってられるかよ。それとも・・・」


「風呂ん中でやってもいいってのか?てめェがそれでもいいってンなら俺ァどこだって大歓迎だぜ」





「・・・私に聞かないで。」



「じゃあ、黙ってろ」



ゾロの舌が胸を這って、乳首を舐めあげた。

「・・・あ・・・ッ」

恥ずかしさは快感を膨らませていく。

先端を口に含んで舌の上で転がす。
胸の内が締め付けられて、ナミは彼の頭に縋るように抱きついた。

名を呼べば彼の愛撫は激しくなる。

もう一つの胸はいつしか彼の手で揉みしだかれて、両の胸の先端は、痛いほどに張り詰めた。

「・・・あ・・・ァ、ゾロ・・・」

「気持ちいいなら言えよ。」

乳首を弄りながら彼が言葉を発すれば、熱い吐息がまた快感を与えた。

ゆっくりと熱い肌の上をなぞって、ゾロの手が下ろされていく。
下着の上から触られた秘所は、その布までも湿らせるほどに濡れていて、彼に触られただけで体が跳ね上がった。

「い、嫌・・・ちょっと待って・・・」

ゾロは何も言わない。
唇の愛撫は止むことなく、下着の上から輪郭をなぞって秘唇を探り当てると、こね回すような指使いでナミを刺激する。


「イヤ・・・ゾロ・・あ、ァ・・・ん・・・やぁっ・・・」


大きく身を捩らせると、ゾロはぴたりと動きを止めた。


「マジで嫌ならここでやめてやるぜ。どうする」


女の上に跨って、ゾロは努めて冷静にそう言った。
最後に残った理性だ。
ナミが一糸纏わぬ姿になったら、途中でやめろと言われてやめられるわけがないという変な自信があるのだ。


「もっと・・・ゆっくり」

「してるだろ」

「・・・してないわよ・・・」

「・・・わかった。すりゃいいんだろ。それでいいんだな?ゆっくりすりゃあ文句はねェな?」

「そ、そうだけど・・・何よ、その言い方・・・きゃあッ!」

乱暴に剥ぎ取られた下着を慌てて抑えようとした時にはもう遅く、ゾロは足からそれを抜き取って早々に自分の服も脱ぎ始めた。

「てめェからの注文だからな。文句言うなよ」

「な、何の話してるの?・・・ゾロ・・・あッ・・・ん」

耳を舐めて、ゾロはわざとらしく唾液をすする。
鼓膜に直接響いた音も耳の中に入る舌先も、淫靡でたまらず、ナミは言いようのない快感に身を震わせた。

「・・・あ、ああッ!やめて、ゾロ・・・!」

男の荒い息ですらも、彼の肌の熱も苦しい。
苦しいぐらいに感じてしまう。

彼の手はわき腹をつっとなぞった。

「・・・ッ!」

びくっと体を浮かせたナミに覆いかぶさって、ゾロはまだ耳を攻める。

その手は迷うことなく秘所へと辿り着いて、今度は直接、クリトリスを弄り始めた。
割れ目を擦り上げられて、悲鳴にも似た嬌声をあげたナミが吐息の合間に「ゆっくりって・・・」と涙まじりに言ったのに、ゾロは聞こえないとばかりにその唇をキスで塞いで、秘唇を弄んだ。

「・・ふっ・・・ぁ・・・あァッ!・・・ゾロ・・・ゾロッ!」

「あァ、先は長いからまだイくなよ」

腰が浮きそうになって、初めてゾロは指を離した。
余韻が口惜しい。

「どうして?」

「お前がゆっくりやれって言ったんじゃねェか」

「そういう意味じゃ・・・」


また彼の指が当てられて、ナミは息を呑んだ。



今度はクリトリスの奥を探るように、こね回す。
コリコリした部分を中心に攻めてやれば、ナミはいやに艶のある声で哭いた。
征服欲が満たされるには十分な声だ。
襞の合間で指を動かせば、焦れたように腰を浮かせる。
泉から湧き出た蜜液は、彼の指にも絡んで生臭い匂いで部屋を満たしていた。

ナミがイきそうになれば指を離してやる。
呼吸を落ち着かせようと瞳を閉じたままの女を見ていれば、また悪戯心が湧いて彼女を苛めてやりたくなる。

そんなことを繰り返していると、しまいにナミの瞳からポロポロ涙が溢れ落ちて、やり過ぎたかと反省した。

「・・・意地悪・・・」

掠れた声が胸に刺さった。

焦らすように動かしていた指を滑らせて割れ目の奥へと侵入させる。
十分に濡れたそこは男の指を咥え込んで、内面はひく付いていた。


「イッたのか?」

「知らない」

首を振ったナミにへェ、と曖昧な返事だけを返して、だが彼女の体の内は確かに痙攣を繰り返しているのだから疑う余地もなく、さすがにまだ正直に言えるものでもないかと、頑ななナミの性格を思い出して秘唇を舐め上げた。

「・・・きゃっ・・やだっ・・・な、何そんなとこ・・あッ!・・・あ、あ・・・ッ!!」

膣の内部は痛いほどに熱く、指を締め上げる。
クリトリスを舐めてやれば恥ずかしさからかナミはその両手で自分の頭を押し戻そうとする。
けれども潮は愈々溢れるのだから、ナミが感じていることは確かで、吸い取れば押していた手の力は緩められて、髪を撫でるようにくしゃとかき混ぜた。

「悪かったな。いくらでもイッていいぜ」

「あぁ・・・ゾロッ!・・・ゾロ・・・ッ!!」

彼の舌は止まず自分を攻める。
ついさっきまでの方がどれだけ優しかったのだろうと思う。
快感がとめどなく押し寄せて、けれどもいくら身体を捩じらせても許してくれない。
ぴちゃぴちゃ音を立てて彼が私のアソコを舐めているというだけで、胸は沸きたって、その上彼の与える快感は、これほどなく気持ち良い。
初めは膣内でゆっくりと動いていた彼の指は、次第にその存在を誇張するように内側をかき回していった。


「・・・・ッ!?」

びくっと身体を大きく撥ね上げて、ゾロの頭を掴んでいたナミの手に一層に力が込められた。

両足が強張って、震えている。

膣の中で動かしていた指を腹側に向けて擦り上げてやった。

何かコリコリした、小さな突起を擦り上げてやった。

刺激が強すぎたのか、その一瞬でナミはイッてしまったのだ。


「気持ちいいだろ?」

「・・ん・・・」

何度も胸を上下に動かして荒い息を吐きながら、ナミは小さく頷いた。


「・・・昨日は・・・こうじゃなかったから・・・」

途切れ途切れにそう言って、ナミは体を起こした。

「昨日はイかなかったって?」

「・・・違うわよ・・・でも、こんなに何回も・・・」

「そりゃ手抜きして悪かったな」

「手抜きなの?」


いや、俺にしてみりゃ一回イかせてやりゃいいと思ってたんだが。
むしろ性欲を処理するだけの行為としか思えなかったセックスだ。
女がどうだなんて関係ないだろう。
自分が気持ち良ければ女も気持ち良いだろう。

この女に出会うまではそう考えていたのだから、まして4年前の自分ともなれば経験だってそう多くもなし、女を満足させるだけのテクニックなんかねェだろう。

「手抜きっつーか・・・まァとにかく昨日のことは忘れろ」

「忘れろって・・・そんな簡単に・・・私、初めてだったんだから・・」

「あァ、じゃあ・・・忘れさせてやる。これでいいだろ」

「・・・・・・バカね。アレもあんたじゃない」


キスを交わした。

ナミは、この酒の味に躊躇ったのか舌を絡ませると僅かに身じろぎして頭を引こうとする。

その髪に手を分け入れて抑えてやると、抵抗もせずに舌を絡ませてきた。

熱くなったモノを押し付ける。

潮に満ちた秘所に今すぐにでも入れてやりたい。

自分のモノの先端は、先走りした精液が僅かに出ていて、早く彼女の奥に入れろとばかりに張り詰めていた。

だが、もう少し、と自分に言い聞かせる。

そりゃ欲望のままに入れるのは簡単だろう。
今のナミなら受け容れるだろう。

だが、もう少しこの女の身体が落ち着くまで待ってやれ、と言い聞かせる。

時間ならたっぷりある。

せめてナミの胸が荒い息に揺れなくなってからでもいいだろう。


「ゾロ・・・やっぱり昨日とは違うわ。昨日は・・・」

「ろくに愛撫しねェで突っ込んだだろ」

「・・・その表現、何か嫌だけど・・・そうよ」

「そりゃ16歳っつったら、ろくに女も知らねェ頃で・・・・」


ナミがパッと顔を離した。






「・・・・・・何だよ?」




「一つ、訊きたいことがあったのを思い出したのよ。あァ、もう・・・忘れてたわ。ゾロの記憶が戻ったら、絶対に聞いてやろうと思ってたのに」

聞いて『やろう』

聞いて『やろう』・・・と、言うからにはその質問てェのはこの俺にとっては非常に立場が悪くなるものに間違いない。


さっきまで涙を流してよがってたくせに、ナミはもういつものように瞳を光らせて俺を睨んでやがる。


今にも爪で引っかきそうだ。


「・・・何だってんだ。いきなり」

「あんた、一体どれだけ経験あるの?」

「経験・・・って・・・」

「・・・その・・・経験と言えば経験よ」


言葉自体は恥じらってるくせに、目付きだけはいやに剣呑だ。


「そういうのは訊かねェのがルールってもんだ」

「・・・嘘。言いたくないだけでしょ?」

うっ。

一瞬で看破しやがった。

そりゃ訊く女がいないわけじゃない。
何せ困るのは自分が何人と経験しただの何だのと自慢する女だ。
そういうのに限って別段テクがうまいわけでもねェしな。

いやいや、今の問題はそこじゃねェ。

実際自分でも一体何人かなんて覚えちゃいねェ。

ナミが何を思ってこんなことを訊いてるかぐらいの察しはついている。

問題はだ。


答える数値をどの辺りに設定するかだ。

多く言って、ナミが怒り出すのも困る。
かと言って少なく言ってナミに経験あるって言ったくせにと笑われるのも自尊心が傷つく。


というか、正直こんなこと考えてたら萎えちまうんだが。


「・・・いいじゃねェか。そんなもん」

「良くないわ。私にとっては大切なの。スモーカーさんは手当たり次第だったって言うし、記憶をなくした時のあんた見てたらそれが嘘とも思えないんだもの。それに、ずるいわよ。あんたは私のこと知ってるのに、私はあんたのこと知らないのよ。」

「だから・・・言ってどうすんだよ、お前は。返答次第で今更やりたくねェとか言うんじゃねェだろうな」

「言わなかったらやらないわ」





そりゃねェだろ。

自分だけ気持ち良くなっといて───そりゃねェだろ。



あァ、いつから俺ァこんだけ情けない男になっちまったんだか。

押し倒しゃいいだろう。

好きなだけ味わえばいいだろう。

それができないのは何故だ。




女は挑発的な瞳を返す。


この女だからだ。


こんな目を見せるくせに、すぐに泣くこの女の所為だ。


抱きたくて堪らなくさせる、この女の所為だ。



全く頭が上がらないってのはこの事だろう。

だが、それがナミで、それが俺だ。
妙に心地良い。


自分はここに戻ってきたのだと、この女のあるべき姿を見て不意に安堵が胸を占めていった。


「俺も覚えてねェが・・・大体100人ぐれェじゃねェか」

嘘は吐いてねェぞ。四捨五入すりゃそんぐらいのはずだ。


「・・・じゃ、次の質問よ」


まだあんのかよ。

焦らし作戦か?

いやいや、ナミは至って真剣な顔をしてる。

クソッ・・・こうしてる間に息子は我慢しきれなくなってきやがった。
ゆっくり事を終わらせてやろうと思ってたってのに。

こんな時に限って、ナミの挑むような目がいやに色気を帯びているように思える。


「・・・その中にはやっぱり上手な人とかいるんでしょ?」

「まァ、そりゃ・・・いたんだろ。」

「だろって・・・何よ」

「だから、覚えてねェって。いちいち覚えてられっか。なァ、それよりそろそろ続きしねェか?」

「嫌よ。質問に答えるまで・・・」

「もう答えただろ」

言うなり、ゾロはナミに覆いかぶさるようにキスを降らせていった。

「ま・・・ン・・・ゾロ、まだ・・・あッ・・」

悲鳴のような吐息を漏れた。
いきり立っていたソレは、今まだ濡れた入り口に当てられて、先端だけが僅かに挿入されていた。

急にじくりとアソコの中が疼いて、キスを交わしながら少しだけ瞳を開くと、ゾロが顔を離してニィッと口の端を上げた。

「散々焦らしやがって」

言いながら、ゆっくりと埋め始めたそれをすぐに引き抜く。

「・・・あっ・・・」

惜しむような声が部屋に響いて、ナミは慌てて口を手で覆った。

満足げな笑みで自分を見下ろす男は、ゆっくりと上体を起こすとまたつぷりと先端を埋めては抜き、指先でクリトリスを弄って卑猥な音を立てる。

「あァ・・・ン、ゾロ・・嫌・・・ァっ」

「嫌じゃねェだろ、さっき気持ちいいって言ってたくせに」

「・・・ち、ちが・・・ばかっ!意地悪ッ!後で覚えてなさ・・・ん・・・あ、あン・・・」

「・・・っとに、そういう台詞だきゃ一人前だな、てめェは・・・」

引き抜いたソレはとうに限界間際で、ナミには悟られぬよう深呼吸をしてからゾロは彼女の眦に浮かんでいた涙を拭ってやった。

「関係ねェ。昔のことなんか。」

「だって・・・気になるじゃない」

「俺ァ気にならねェぞ」

「そりゃあんたは私に何があったか全部知ってるから」


もういい、とばかりにゾロは何も言わぬままナミの両足を大きく開かせた。
閉じられていないドアの向こうには明るいダイニングがあって、彼に全てが見られているかと思えば、自分でも信じられないほどの快感がぞくりと背を這ってまた蜜液が溢れだす。

小さく彼の名を呼んだ。

ゆっくりと、ソレが埋め込まれていく。

じわりじわりと固いモノは確かに自分の中に入ってきて、ナミは無意識のうちに彼の膝に爪を立てていた。

「痛いなら言えよ。昨日の今日だからな」

ふるふると首を振る。

「・・・・良くても言えよ。俺が聞きてェから」

それでもやっぱりナミは首を振る。

どっちだ、と訊いても今のナミは答えられないだろう。



一気に奥まで突き入れて、その肩を抱いた。


暫くそうしてナミの項を吸ってやれば、足を擦り寄らせて、ナミが「動かないの?」と焦れたように言う。


「・・・お前が動けよ」

「そんなの・・・無理よ、私・・・ねぇ・・・ゾロ、動かないの?」

「うっせェ。俺も相当来てんだ。」


ナミの中は最高だった。

予想していたよりもずっと、最高の快感が俺を締め上げた。

入れただけで、前戯をしてやっただけで、まさかこれほどとは思わなかった自分も悪い。
少々高を括っていたのだ。

女の内襞をまだ僅かに痙攣をしていてそれだけで俺の息子を刺激する。
潤うその内側は熱く、ナミを感じさせているという喜びが胸を満たす。


そうやってじっとしていると、ナミは俺の首にきゅっとしがみついてまた俺の名を呼ぶ。



あァ、ここにいるさ。

もうお前から離れねェ。

離れられるか、こんだけ最高の女から。




・・・・・・いや。

最高なのは、俺がこの女に・・・───

「ゾロ・・・」



「ゾロ、動いて。」



ナミが小さく言って、吐息と共に俺の項を吸った。

どくんと心臓が高鳴った。

抑えきれぬ衝動に、がばっと身体を起こして女の両足を持つなり欲望に任せて腰を突き動かしていく。


「あァ・・・ッ・・・ゾロ・・・あ、あぁッ・・・──」


揺れる胸に今更ながらに生唾を飲み込んで、それを揉めば、いつしか汗ばんでいたナミの肌が手に吸い付いてそれすらも愛おしい。

心は身体と連動して、彼女の涙まじりな嬌声も、苦しげにシーツを掴んで逃れようとする様も、時折半分だけ開いて俺を見るその瞳も、全てが俺の欲望に直結していく。
セックスをしながらこの女はどこが気持ち良いのかと考えたことなど、俺にとっちゃ初めてで、せめてナミの表情の全て視認できるよう電気を点けてりゃ良かったかと後悔した。

出し入れしては彼女の秘唇を弄って、胸を吸ってやる。
空いた手でもう片方の胸を揉んでやる。
そうすればナミは、ビクビクと身体を震わせて、そのくせとんでもなく甘い声を俺の耳元で出す。

幾度も幾度も強く締め上げては甲高い声を部屋に響かせた女の唇を吸えば、まるで縋るように舌を絡めてきた。

「ん・・・ゾロ・・・・・ゾロ、もう・・・ぁは・・・ァ・・・あぁッ!」

「あ、ァ・・・俺も・・・ッ」

急に激しくなったゾロの動きにナミが腰を撥ね上げた。

瞬間、内壁に強く締められて、慌てて自分のモノを外に出すと、白い精液が彼女の腹に飛び散った。




*********************




ナミはその美しい肢体を隠すことも忘れてぐったりと横たわっていた。

呼びかけても生返事しか返ってこず、諦めてその傍らに自分も横になれば、頭だけを腕に寄せてくる。

「・・・さっきまでキャンキャン騒いでたくせに」

「甘えちゃいけないの?」






・・・なんと。

新しい手法だ。


開き直りで甘えてきやがった。


しかもこっちがその言葉を否定しなければ、怒り出してもおかしくない。


この状況において、さすがはナミ。


全く、感服せざるを得ない。




妙な畏服の念が胸に沸いて、じっとその女の様子を伺ってると、不意にナミがころんと上を向いて瞳だけを自分に向けた。

「ねぇ、キスしてよ。」

「あァ?あんだけしてやったじゃねェか」

「いいじゃない。今したいのよ。」


へぃへぃとばかりに呆れた顔で唇を重ねると、ナミは満足そうに笑った。


「考えこんでたのがバカみたい。」

ナミに半身、覆いかぶさったままでゾロはじっと彼女の顔を見た。
決して自嘲するような笑みではない。

どこかすっきりとした晴れやかさがその瞳にあって、それを確信して「だから言ったじゃねェか」と返せば、ナミは珍しく素直に頷いた。


「まぁ・・・あんたが言うと別の意味に聞こえるけど、そういうことね」

「何だ、その別の意味ってのァ・・・」

「やりたいだけでしょう?あんたは」

「・・・そう思うならそう思っときゃいいだろ」

「あら、違うって言うの?」


言われてどれだけこの女に惚れてるのか言葉にしてやろうかとも思ったが、そういうことは不得手でうまい言い回しなどこれっぽちも思い浮かばない。
あのエロコックならすんなり女を喜ばせる言葉を口にできるかとふと思って、知らず知らず舌を打ち鳴らせば、ナミが明るい声で笑った。

「いいわよ。わかってるの・・・本当は」



「あんたがそういう人だって」





「───おい。勝手に人を・・・」





「あんたが、私のことどれだけ好きかって」





「わかってんのよ」




言って、ナミはまた笑う。




じゃあ冗談まじりにでもそんなことを言うなと叱ってやりたい気分も、彼女の笑顔を見ていれば吹き飛んでその額に口付けを落とした。



「まだ怖ェか」


訊けば、ナミは一層に笑顔を光らせて俺の首にしがみ付いてきやがった。









───私に怖いものなんかあるもんですか。









上等だ、と小さく呟いて、また唇を重ねた。




=Fin=

●後書き●

ここまで読んでくださってありがとうございました。

誤字脱字のご指摘、ご意見ご感想は18禁小説というこで掲示板ではなくメールにていただければと存じます。

私はどうしても掲示板が大好きです!!
と胸を張って仰る方は、掲示板にどうぞ。
その際は18歳以下の方も見ている可能性があるということを念頭に
以下の項目にご注意ください。

・エロエロ語を使わない
・エロエロし過ぎない

公序良俗に反し、エロエロし過ぎているなと管理人が判断した場合は
くすりと笑いながら即刻削除いたします。


18歳以下のお子ちゃまでこの後書きを読んでる方もいらっしゃるとは存じますが、一言。



こらっ。



尚、この小説に限りましては読者の方からのご要望からヒントを得て書かせていただいた作品になります。

今後とも皆様のお声を参考にさせていただきたいので、
ご感想をお送りいただける際は当サイトにてどの小説をお気に召していただけたか
もしくは、どんなシーンがお好きかのお声をこっそり教えていただければ嬉しいです^^

これからも当サイトをよろしくお願い致します。


管理人:こむぎ (2005.4.2)
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